松江建築研究会(正式名:初代松江警察署庁舎調査研究会)公式ブログです。松江建築研究会は、山陰に残る歴史的な建造物の調査・研究・保存・再活用を目的に2014年に発足しました。まずは初代松江警察署庁舎(明治13年建設)の再建と保活用を目指しています。弊会のこうした活動を随時、お知らせいたします。
この建物は解体間際にその価値が見出され、紆余曲折を経て松江市が保存に踏み出し、部材保存とすることになりました。そのいきさつを以下に示します。
変わった建物があることは認識されていましたが、それはずっと大正時代に建てられた旧雑賀幼稚園の園舎であると看做されていました。その建物も昭和初期になって、雑賀幼稚園から北辰堂という線香工場に使われるようになりました。北辰堂は線香のみならず、さまざまな製品を作っており、第二次大戦時には軍需工場としても稼働していたようです。
そして平成26年(2014)正月になってこの建物が解体されるという知らせが入りました。それでも大正時代のものであるなら、壊される前に調査はしておこうということになり、松江市文化財課が企画して、建築士会と市の文化財関係者で調査を行いました。
その結果は驚くべきものでした。確かに大正6年に雑賀幼稚園として使われ、その写真も残っています。しかし、内部を調査して見ると、幼稚園にはそぐわないような、蹴上(けあ)げの高い階段や装飾、そして玄関に当たる扉上部の半円の欄間窓には、明治時代の特徴ともいえる意匠が施されていました。
その窓の意匠は松江の城山内にあって、明治36年(1903)に皇太子行啓の宿舎として建てられた「興雲閣」の窓上部の意匠とも一致しました。また、所有者への聞き取りでは、この建物が元は警察署であったという情報が得られ、決定的な証拠として、建具(襖)の下張書類の中から明治初期の警察関係の書類が多数発見されました。この中には罪人の持ち物などを記したものもあり、門外に出しにくい書類でした。
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— 松江建築研究会 (@matsueken) 2016年5月13日
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